藤沢周平

藤沢周平

ふじさわしゅうへい

山形県鶴岡市生まれ。山形師範学校卒業。「暗殺の年輪」で直木賞受賞。江戸時代を題材とした時代小説を多く残した。

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感想一覧

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暗殺の年輪

藤沢周平 著 / 文春文庫 / 4.5 / *

あらすじ

藩の権力争いの陰で過酷な宿命に翻弄される下級武士を描いた表題作。暗澹たる人生を歩み続ける男たちの生き様に深い共感を込めた「黒い縄」「ただ一撃など」

「暗殺の年輪」の感想

表題作「暗殺の年輪」が直木賞受賞作。秀作揃いの短編集でした。難しそうだなぁなんて勝手に想像して、一度も読んでいなかった藤沢周平さんの著作でしたが、読まなきゃ損!でした。ストーリーも文章も、非常に上質。そして、非常に面白いです! 何と言うか、読んでいて色気を感じます。女にも、男にも。苦しみに耐える姿や別れの姿、立ち向かっていく姿に色気が匂い立ちます。女性の体の重みだとか、香だとか、直接色気を連想させる描写もありましたが、そういう描写を除いたとしても、非常に雰囲気のある短編ばかりでした。

幾人もの女性が登場しますが、全て「男をうつす鏡」として描かれていたような気がします。そんな女たちの美しさが、何ともせつないです。

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蝉しぐれ

藤沢周平 著 / 文春文庫 / 4.0 / *

あらすじ

朝、川のほとりで蛇に咬まれた隣家の娘。清流と木立に囲まれた城下組屋敷。淡い恋、友情、そして悲運と忍苦。ひとりの少年藩士が成長してゆく姿を描く。

「蝉しぐれ」の感想

少年藩士の淡い初恋や、彼が藩に渦巻く陰謀を乗り越えて行く姿を描いた作品。人気のある作品ですが、初期の傑作「暗殺の年輪」と比べると、上手くとも気迫に欠けるというような気がします。文章はやはりとても上手いし、やり直しのきかない「かなわぬ恋」のくだりは切なさを誘うし、少年剣士としての努力、仲間との友情などの描写などもバランスよく散りばめてあり、まるで「小説」の見本とも思える作品となっていました。どこか教科書的で、完璧過ぎるこの作品を物凄く好きと言い切れない理由は、その完璧さにある気がします。どこか逆説的にも思えますが、実際そうなのです。どこかに「余白」が欲しい、そんな気がするのです。

川の流れと、蛇に咬まれたふくの指の白さ。これらの清冽な印象が、読み進む私の心の中に、非常に強くラストシーンにまで残っていたように思います。そのため、ふくと文四郎の最後の逢瀬の言葉一つ一つ、行動の一つ一つが、どこかあけすけで、手が届きそうで、正直好感が持てませんでした...。しかし、スタンダードな青春時代劇と言えば、いつもこの作品が思い浮かぶ、そんな作品です。比べるとすれば、乙川優三郎の「喜知次」でしょうか。

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