道尾秀介

道尾秀介

みちおしゅうすけ

東京都生まれ。「背の眼」でホラーサスペンス大賞特別賞。「シャドウ」で本格ミステリ大賞。「カラスの親指」で日本推理作家協会賞受賞。

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向日葵の咲かない夏

道尾秀介 著 / 新潮文庫 / 3.0 / *

あらすじ

欠席した級友の家を訪れると、S君が首を吊って死んでいた。だがその死体は、忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて「僕は殺されたんだ」と訴えた。

「恋忘れ草」の感想

冒頭部分の、死に際の「妹」の姿の描写に、まず引っかかるものがありました。ですから、その先を読んで行くと次々に現れる、その違和感を否定するような描写に私は何度も、勘違いなのかと首を傾げたのです。けれど、S君がミチオの前に姿を変えて現れたとき、「やっぱりそういう事か」と。もし、終盤までカラクリに気付かずに読まされるような事になっていたら、読後かなり頭に来ていたかもしれません…。

この作品は、読み始めた読者に対してある種の「違和感」を幾つも与えるに違いありません。その違和感がどこから来るものなのか、何の不自然さから来るものなのか…、それがこの作品の全てとも言えます。この著者の作品を読むのが初めてだった私には、それが作家としての力量不足によるものなのか、あるいは作為的な物なのかが良く分からず、S君が再び現れるまで確信が持てませんでした。そういう形で鍵を示す事が、私には正直「上手い」とは思えません。だって、最後まで騙されてしまった人は、最後まで「下手くそだなぁ」と思いながら読む事になるのです。それは、読書の楽しみが半分奪われたような状況だと思います。最近はこういう手法も流行の一つとして有りなのだと思いますが、古典的な手法に照らせば、読者に対してアンフェア(私の主観的にはアウト)かつ下手な叙述トリック物だと言えるでしょう。好き嫌いが相当分かれる作品である事は、間違いありません。少なくとも私は、好きになれませんでした。

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<追加した書評>
【向日葵の咲かない夏 /新潮文庫】
−あらすじ−
欠席した級友の家を訪れると、S君が首を吊って死んでいた。だがその死体は、忽然と消えてしまう。一週間後、S君はあるものに姿を変えて「僕は殺されたんだ」と訴えた。

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