宮尾登美子

宮尾登美子

みやおとみこ

高知県生まれ。高知市高坂高女卒。「連」で婦人公論女流新人賞受賞。「櫂」で太宰治賞。「寒椿」で女流文学賞。「一絃の琴」で直木賞受賞。「序の舞」で吉川英治賞受賞など。

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感想一覧

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宮尾登美子 著 / 新潮文庫 / 3.5 / *

あらすじ

喜和は十五の歳に渡世人・岩伍に嫁いだ。芸妓紹介業を営み始めた夫は、家を顧みない。胸を病む長男と放縦な次男を抱え必死に生きる喜和。やがて岩伍が娘義太夫に生ませた綾子に深い愛をそそぐが…。

「櫂」の感想

太宰治賞。古風な文章で綴られた、女の一生。「一絃の琴」「伽羅の香」などの一芸ものとは異なり、特に何の芸があるわけでもなく、芸妓紹介人の妻としては不向きとも思える喜和が生きて行く姿を描いたもの。

「男の仕事に女が口を出すな」と岩伍が何度も喜和をしかりますが、喜和の言い分は「人の仕事に口を出し過ぎだよなぁ」とつい私も思ったほどです...。どちらかと言うと岩伍の気持ちの方が分かる部分が多くて、随所で喜和がとても我がままに見えました。岩伍が仕事と自分に持っているプライドが、仕事を持たず、こだわる物を何も持たない喜和には決して理解できないという感じです。

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岩伍覚え書

宮尾登美子 著 / 集英社文庫 / 3.5 / *

あらすじ

人助けの信念を貫き、娼妓紹介業を営んできた富田岩伍。生きるギリギリの手段として、また前渡し金を騙しとろうと企んで、「身売り」の世界におぼれていく男女の哀しくもたくましい「生」。

「岩伍覚え書」の感想

「櫂」で喜和の夫として描かれた岩伍の回顧録という形を取った小説です。岩伍が芸妓娼妓紹介業を営む中で経験した仕事上のトラブルや、忘れがたい出来事などが綴られて行く中で、「櫂」では喜和の視点ゆえに見えて来なかった岩伍の一面が浮き彫りにされます。

著者の作品で男性を中心に描かれたものは珍しいと思いますが、他に劣らず良い作品でした。「櫂」ではどこか古雅な文体が選ばれていましたが、本作は老いた岩伍の語りという形式になっており、また違った独特の味わいがあります。独立した作品として完結しており、「櫂」などと連作として読まなくても全く問題は無いと思います。

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一絃の琴

宮尾登美子 著 / 講談社文庫 / 4.5 / *

あらすじ

一絃琴に魅入られ、人生を琴に傾け尽す少女、苗。愛も憎しみも、すべてが琴と共にある。

「一絃の琴」の感想

直木賞受賞作。一絃琴にかける女の情念が、丁寧な筆で描かれて行きます。非常に面白いです! 人間がしっかりと描かれていて、その登場人物の見せる感情の奥深さ、激しさに凄みを感じます。宮尾登美子さんの本を読んでいると、もう読むほどに苦しくなって、どうして素直に幸せになれないのかと思う...。みんな苦しい道を、必死で駆けていく女たちばかりが描かれるから。

やっぱり、女性だからこそ理解できたりする表現って、ある気がするんです。でも、ムードだけで読ませる女流とは違う、本物を書くのが宮尾登美子さんだと思います。だから、きっと誰が読んでも面白いはず。心情を丁寧に描いた、「重い、右ストレート!」という感じ。直球だけが持つ迫力を感じます。

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もう一つの出会い

宮尾登美子 著 / 新潮文庫 / 3.5 / *

あらすじ

人生をかえた38歳、ゼロからの出発。波瀾の軌跡から掬い上げた生きるということ、愛するということ。昭和57年初版の随筆集。

「もう一つの出会い」の感想

著者のエッセイ。このようにして数々の傑作が生み出されていくのだなぁと、素直に思える一冊でした。面白おかしく書こうというエッセイではなく、著者の日常を感じます。その分、多少時代を感じる部分もありましたが、仕方のない事だと思いました。

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天璋院篤姫(上、下) 」

宮尾登美子 著 / 講談社文庫 / 4.0 / *

あらすじ

薩摩島津家の分家に生まれた篤姫は、藩主斉彬の養女として、13代将軍家定の正室として江戸城に送りこまれる。大奥3千人を統べた幕末の御台所として名高い、天璋院の生涯。

「天璋院篤姫」の感想

私は幕末物が好きなので、結構興味深深でした。天璋院は幕末の大奥で皇女和宮と並ぶ有名な女性です。天璋院も和宮も、実家の力との関係で徳川へ嫁いだ女性ですが、二人とも徳川の為に力を尽くした心意気のある女性。和宮の姑として、彼女をいじめたとか、対立したとか、そういう話になっているのかと思ったら、こらえ、こらえて和宮と相対する姿が胸をつく物語。見方によっては、これほど天璋院の印象が変わるのですね。一般に「可愛そう」と言われる和宮が、わがままに見えるほどの、天璋院の生き方です。

話題となったフジテレビ系列のドラマ「大奥 第一部」で、菅野美穂さんが演じていた役が、天璋院です。ドラマを見て興味を持たれた方も、ぜひ。「大奥 第一部」では和宮の姑として実成院ばかりが描かれ、天璋院と和宮のエピソードも実成院と和宮のエピソードに変えられていました。

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(上、下) 」

宮尾登美子 著 / 角川文庫 / 4.5 / *

あらすじ

蔵元である旧家生まれた娘・烈は、小学校入学を前に失明にいたる病を患っていることを知る。過酷な運命を背負う烈。

「蔵」の感想

ベストセラーになった作品。舞台や映画にもなりました。全盲(!)の少女烈の、酒にかけた人生の物語。これは、泣かされてしまいました。「一絃の琴」とどちらが好きかと聞かれたら、「一絃の琴」なのですが、本作も非常に素晴らしいです。

烈に襲いかかる運命の過酷さが、私を泣かせて泣かせて...。幸せになって欲しい一心で読み続け、一気に読み通してしまいました。宮尾登美子さんの物語の主人公は、どうしてこんなに私の胸を締めつけるような苦しい生き方をするのでしょう。もっとわがままになれば、楽に生きられそうな気がするのに...。

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東福門院和子の涙

宮尾登美子 著 / 新潮文庫 / 3.5 / *

あらすじ

徳川二代将軍の娘和子は、史上初めて武家から朝廷に嫁ぎ「稀なる福運の姫君」と称えられた。自らの苦悩は決して語らない女性であったが、宮廷の冷たい仕打ちは、中宮の紅絹の布が知っていた…。

「東福門院和子の涙」の感想

二代将軍・徳川秀忠を父とし、淀君の妹・江与を母とする和子(後の東福門院)は、後水尾天皇中宮となった。将軍の娘であり、国母にまでなった女性...の隠された苦しみを描くという趣旨な訳ですが...。個人的には頂けませんでした。やはり、女性一代物として素直に読むにはその背景があり過ぎる気がします。

和子はお市の方の血筋です。祖母(市)、母(江与)、伯母(淀)が、戦国から徳川の初めまでに女性ゆえに味わった人生の苦しみを考えれば、和子がそれほど大きな苦しみを負っているようには見えません。むしろ、まだ幸福な方なのではないでしょうか...。「紅絹の布が知っていた」のは、周囲に聞こえるほどの苦しみではなかったのかもしれないなぁ、とも思えるのです。

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<追加した書評>
【岩伍覚え書 /集英社文庫】
−あらすじ−
人助けの信念を貫き、娼妓紹介業を営んできた富田岩伍。生きるギリギリの手段として、また前渡し金を騙しとろうと企んで、「身売り」の世界におぼれていく男女の哀しくもたくましい「生」。

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