三島由紀夫

三島由紀夫

みしまゆきお

東京生まれ。東大法学部卒。「潮騒」で新潮社文学賞、「金閣寺」で読売文学賞、「サド侯爵夫人」で芸術祭賞を受賞。自衛隊市ヶ谷駐屯地で「天皇陛下の万歳」を三唱して割腹自決した。

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感想一覧

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仮面の告白

三島由紀夫 著 / 新潮文庫 / 4.0 / *

あらすじ

「私は無益で精巧な一個の逆説だ。この小説はその生理学的証明である」女性に対して不能であることを発見した青年が、幼年時代からの自分の姿を丹念に追求する。

「仮面の告白」の感想

「自伝的」小説と言われる本作は、青年の苦しみを描いた「小説」として、ありふれた「物語」など超えるほど作りこまれています。考えてみれば、日本の「小説」の大部分は「どこかに仮面を被った小説家の告白」であり、仮面を外せば「私小説」なのですから、題名は三島の皮肉でもあるのかもしれません。

「女性に対する単純な好奇心」を演じなければならない、「悲しい生き物」である苦しみは、人間の根本に関わるものであるだけに深いという事を感じました...。男色であったと言われる三島だからこその視点なのかもしれませんが、やはり眩い白というような描写の園子に比べて、薄汚れ汗に塗れた若者の輝きの描写が、通常の男性の描写を超えて性的なことに驚きました。

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禁色

三島由紀夫 著 / 新潮文庫 / 3.5 / *

あらすじ

一生を女性に裏切られてきた老作家は、美青年南悠一が同性愛者であることを知り、この青年を利用して恨み深い現実への復讐を企てる。

「禁色」の感想

同性愛者である美貌の青年を使い、女性たちに復讐を遂げる老作家の物語。悠一は、「官能の宿命的な傾斜」を持つ美青年です。「仮面の告白」と同じく同性愛が随所でポイントとなって来ますから、スキじゃない人もいるかもしれません。

悠一などの同性愛者が登場することによって、登場する人々の感情のもつれが本当に複雑になるので、戸惑いました...。誰も彼も希望のない愛情を胸に抱いて、愛する人から愛されているという確信を持てないでいるのです。

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潮騒

三島由紀夫 著 / 新潮文庫 / 3.5 / *

あらすじ

文明から孤絶した、海青い南の小島。潮騒と磯の香と明るい太陽の下に、海神の恩寵あつい若くたくましい漁夫と、美しい乙女が奏でる清純で官能的な愛の牧歌。

「潮騒」の感想

「金閣寺」と同じ人が書いた本とは思えません。「仮面の告白」と同じ人が書いた本とも思えません! 飾り気のないまっすぐな文章と、それぞれの人物の清清しさ。照れ臭いまでの無垢な恋物語でした。

本作以外の作品で三島由紀夫が描いた人物は、誰も彼も「他者に理解されない屈折した重い内面」を抱きながら生きているような人物ばかりだったような気がします。それが、本作では驚くほど素直で、清らかな人たちばかりなのです!波に洗われて、泥が落ちたとでも言うのでしょうか。「その火を飛び越して来い」 こんな素直な情熱を、三島由紀夫が描いたと思うと不思議な感じ...。しかし、私が三島に求めているのはこんな清清しい若さではないようです。つまり、物足りない...。

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金閣寺

三島由紀夫 著 / 新潮文庫 / 4.5 / *

あらすじ

「国宝・金閣寺消失」この事件を題材として、その陰に秘められた若い学僧の悩み、幻想と心中に至る心中を書き表す。

「金閣寺」の感想

別に三島由紀夫ファンではないはずだったのですが、この本には衝撃を受けました...! 三島由紀夫の世界に夢中になる人がいることを、私はこの作品を読んでようやく理解できました。読むほどに、金閣寺の幻想的な美しさが、物理的な美しさを超えて頭の中に迫ってきます。三島由紀夫の文章の世界に陶然として引き込まれて行く自分に、驚いたほどです...。これほどの感覚を味あわせる文章を書く作家を、私は他に知りません!

日本語の美しさ、金閣寺の美しさ、そしてその作品の構成の美しさに酔います。「日本語とは、これほど豊かな表現が出来るものなのか」という驚きと感動を教えてくれた作品は、この「金閣寺」でした。人間の内面を書いて、これほどの広がりを読ませるとは...。驚嘆に値する一作。

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午後の曳航

三島由紀夫 著 / 新潮文庫 / 3.5 / *

あらすじ

船乗り竜二の逞しい肉体と精神に憧れていた登は、母と竜二の抱擁を垣間見て愕然とする。矮小な世間とは無縁であった海の男が、陸の生活に馴染んでゆく事実は、登にとって許しがたい屈辱であった。

「午後の曳航」の感想

昼メロにでもありそうな、美貌の寡婦のロマンスが描かれて行くだけなのかと思った冒頭部。しかし、当然それは全くの見当違いでした。三島の描く「少年」は、少年らしい強い憧れや潔癖さを持っているのと同時に、不気味な精神的成熟をも垣間見せます。酷くアンバランスで、未完成な姿が、恐ろしさを感じさせます。

少年にとっての「英雄」であり続けることができなかった男は、少年の憎悪の対象となります。それは、あってはならない「自分たちの未来の姿」なのです。少年と竜二に、三島自身の人生を投影したかのように思えるラストシーンには衝撃を受けます。

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宴のあと

三島由紀夫 著 / 新潮文庫 / 3.5 / *

あらすじ

政治家がよく利用する高級料理屋の女主人かづは、元大臣の野口に惹かれ、結婚する。 野口は東京都知事選に出馬し、かづは夫の選挙資金のために自分の店の財産を投げ出す。

「宴のあと」の感想

日本初のプライバシー裁判となったことで、有名な作品。裁判の結果、三島は賠償を命じられています。しかし、この小説のモデルとなった有田八郎さんを知らない私には、ごく普通に小説として読むしか読みようがないし、特に先入観もありませんでした。ちなみに、文庫の後ろについている解説が、本件の「背景」を説明してくれたので、珍しく解説に感謝。

本作は、三島にしてはシンプルな内容・簡潔な描写の作品でした。選挙というものを中心に、かづという女性が描かれています。かづと野口がすれ違い始めるあたりからは、もう見ていられないほどに女性の嫌悪したくなるような部分が見えて、辛かったです...。男性が、女性の「嫌らしさ」(性的にでなく、不快感を与えるという意味で)を上手くに描いているのは、珍しいのではないでしょうか。

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春の雪 (豊饒の海 第一巻) 」

三島由紀夫 著 / 新潮文庫 / 4.0 / *

あらすじ

公爵家の若き嫡子松枝清顕と、伯爵家の美貌の令嬢綾倉聡子のついに結ばれることのない恋。誇り高い青年が、「禁じられた恋」に生命を賭して求めたのは何であったか?

「春の雪」の感想

三島由紀夫の作品の中でも、非常に読みやすい作品の一つ。「春の雪」「豊饒の海」という四部作の第一作目ですが、本作だけでも完結しており十分に楽しめます。自分に対する強い自負と屈折を身内に同居させた主人公が、美しい令嬢との恋と自己陶酔の末に破滅していく物語。三島の作品の中でも特にドラマティックなストーリーで、読みやすい小説です。「至高の、美しい禁忌」ゆえに燃え上がった恋に、最後になって松枝清顕が見せようとする「至上の誠」が印象的です。

先日の映画化では、妻夫木くんが松枝清顕を演じたようですが、主人公のあのプライドと感受性と屈折のイメージと合いませんね...。きっと、ただのメロドラマになっちゃうんだろうなぁ...(未見♦多分一生見ない)。

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