乙一

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おついち

福岡県生まれ。「夏と花火と私の死体」でジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞。

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感想一覧

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夏と花火と私の死体

乙一 著 / 集英社文庫 / 3.5 / *

あらすじ

9歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄妹の悪夢のような四日間の冒険が始まった。死体をどこへ隠せばいいのか。

「夏と花火と私の死体」の感想

ジャンプ小説・ノンフィクション大賞の受賞作である、表題作と他一編が収められています。決して、完成度が高いとは言えません。しかし、荒削りな新人の受賞作として、悪くないなと思える作品でした。受賞作は、、一人称で始まり、「私」が死んだ後も「私」の一人称で物語が進行するという、言わば禁じ手を使った作品です。デビュー作だから…という欲目で見れば、それさえも初々しい魅力になるという…危うい作品でした。無垢な少女の死体の一人称という「裏技」が、物語に独特の雰囲気を与える役割を大変上手く担っていて、ことさらこの禁じ手を非難する必要を感じないどころか、まぁいいかとさえ思えてしまいます。デビュー作にしては、雰囲気作りが上手いと思いました。死んでさえ匂う少女の初々しさや、子供の残酷さ、大人の狡猾さが、夏の花火になんて良く似合う事か!

磨かれた石の美しさや完成度は無くても、削りだしたばかりの無骨な味わいはあります。ジャンルとしては、ミステリに入るのかもしれませんが、雰囲気重視という事もあり、どちらかというとファンタジーにでも入れたいような感じがしました。緻密なミステリ好きには、あまり好まれないでしょう。ちょっと意地悪く言えば、もしかすると、著者は描いた小説を何度も推敲し、言葉を選ぶようなタイプの方では無いのかもしれないなぁとも思えますが。正攻法でどこまで物語を描けるのか...、興味が沸きます。

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暗いところで待ち合わせ

乙一 著 / 幻冬社文庫 / 4.0 / *

あらすじ

視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。

「暗いところで待ち合わせ」の感想

著者の経歴からもあらすじからも、全く期待を持っていなかった作品ですが、意外に楽しめました。盲目の女性の家の隅にうずくまる男という設定は、悪く言えば「どう考えてもありえない設定」ですし、時には突っ込みの一つも入れたくなります。しかし、良く言えば大変前衛的で、挑戦的で、若さの光る面白い作品なのです。私は本作を、最終的には後者のように感じました。本作は、余計な部分を削いでもっと短くした方が光るような気はしますが、最近の若い作家さんの作品には本当にがっかりさせられる事が多い中、思いの他印象的な作品だと思います。もっと不条理で、もっと謎めいていた方が、私好みではあるのですが...。分かり易過ぎて、少し物足りなく思えるのが、個人的には少し残念でした。

盲目の女性の、外に出るという未知のことに対する恐怖感を大きく描きながら、家の中に未知の男性がいるという事に対する恐怖心はあっさりと描く点などは、著者が男性ならではという気がしました。女性が潜在的に持っている、肉体的な弱さゆえの未知な異性への恐怖心のようなものを、未知の状況に置かれた盲目のミチルが全く見せないのはあまりに不自然に思われてなりませんでした。恐らく、ミチルが男性の方が、作品としてまだ説得力があったかもしれません。

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<追加した書評>
【夏と花火と私の死体 /集英社文庫】
−あらすじ−
9歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄妹の悪夢のような四日間の冒険が始まった。死体をどこへ隠せばいいのか。

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