重松清

重松清

しげまつきよし

岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒。「ビフォア・ラン」で作家デビュー。「ナイフ」が坪田譲治文学賞。「エイジ」山本周五郎賞受賞。「ビタミンF」で直木賞を受賞。

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感想一覧

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エイジ

重松清 著 / 新潮文庫 / 3.5 / *

あらすじ

ぼくの名前はエイジ。中学二年生。その夏、町には連続通り魔事件が発生して、犯行は次第にエスカレートした。ついにつかまった犯人は、同級生だった。

「エイジ」の感想

山本周五郎賞受賞作。青春小説のような語り口で始まりましたが、なかなか面白い作品。特に後半部、エイジが「通り魔犯」と自分を重ね合わせて行く描写などは恐ろしく、ニュースで見るような事件とも重なりました。犯罪を犯した少年の心に自分を重ね合わせ、それを乗り越えて己の糧とできれば良いでしょう。しかし、自分というものが確立されていない少年期には、その精神に飲み込まれる事もあり得るのだと思い、ゾッとしました。

それにしても、中学生の男の子というものは、全く未知の動物で...、度々か驚かされました。

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ビタミンF

重松清 著 / 新潮文庫 / 4.0 / *

あらすじ

38歳、いつの間にか「昔」や「若い頃」といった言葉に抵抗感がなくなった。40歳、中学一年生の息子としっくりいかない。一時の輝きを失い、人生の中途半端な時期に差し掛かった人たちに贈るエール。

「ビタミンF」の感想

直木賞受賞作。多感な年頃の子供を抱える父であり、老齢の父に対しては息子であり、共に色あせた妻にとっては夫であるような男性達の、戸惑いと倦怠、そして大げさに言えば「再生」を描いた短篇集です。

激しい衝突をしたわけではなくとも、いつしか深く刻まれていた家族関係の溝や、妻子とのズレ、孤独感などの描写が素晴らしい作品でした。平易な文章と会話で描かれているにも関わらず、浮かび上がる人間関係の機微を感じさせる物語は深さを感じさせます。いつの間にか子供の事を良く分からなくなっている、いい年の父親の自分。どう振舞えば良いのか、どう言葉をかけたら良いのか、分からないながらも乗り越えようとする姿が、なかなか胸に沁みる秀作でした。「ちょっと、鮮やかに乗り越えすぎじゃない?」と思える部分もありますが、それを考えに入れても、なかなか良い本だったなぁという感慨を覚えられる本でした。

* 短篇・「パンドラ」に関する余談 *

神話のパンドラの箱には、人間に対するあらゆる「厄災」が入っていました。最後に最後に残っていた「厄災」は、「前兆」です。これが箱から出なかったため、人間は災いの起こる未来をあらかじめ知ってしまわずに済む事のなり、「希望」だけは失わずに済んだ。というお話です。本書所収の短篇において、「箱に最後に残ったものは、希望だったろうか、それとも絶望だったろうか。」という記述にちょっと不満だったので、ちょっと余談でした。文字通り取るならばともかく、パンドラの箱を彷彿とさせる文章と捉えると、ニュアンスが変わって来る一文だと思いました。最近ギリシャ神話に凝っているもので...。「偽りの希望」が残されていたとする説もあるようです。

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<追加した書評>
【ビタミンF /新潮文庫】
−あらすじ−
38歳、いつの間にか「昔」や「若い頃」といった言葉に抵抗感がなくなった。40歳、中学一年生の息子としっくりいかない。一時の輝きを失い、人生の中途半端な時期に差し掛かった人たちに贈るエール。

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